配当金 ― 確定申告は本当に不要?                  「配当控除」と「損益通算」どちらを選ぶべきか(令和7年分対応)

株式投資をされている方の大半は、
**特定口座(源泉徴収あり)**を選択されています。

実務上、投資家の9割超がこの方式を利用しており、
配当金には受取時に

20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

が源泉徴収されています。

そのため原則として確定申告は不要です。

しかし――
すべての人にとって「申告しない」が最適解とは限りません。

課税所得が比較的低い (総合課税を検討)
上場株式の譲渡損失がある (分離課税を検討)
過去の損失を繰り越している (分離課税を検討)

このような場合は、確定申告をした方が有利になる可能性があります。

令和7年分の税制を前提に、実務で本当に使える判断基準を整理します。

※ 本記事は、一般的な内容をもとに税務の考え方を解説しています。
実際の税務判断は、事業内容や状況によって結論が変わることがあります。
本記事は情報整理としてご活用いただき、
「自分の場合はどう判断すべきか?」という視点で読み進めてみてください。

目次

配当金の課税方法は次の3つです。

① 申告不要制度
源泉徴収で課税関係が完結。多くの方がこれに該当。

② 総合課税(配当控除あり)
給与などと合算して税率を適用し、配当控除を受ける方法。
※ただし、配当控除は内国法人からの配当金に限ります。

③ 申告分離課税
上場株式の譲渡損失と損益通算ができる方法。

①総合課税と選択し、配当金を給与などと合算する。

②累進税率を適用し、15%より低い税率を選択する。

③配当控除で税額軽減し、MAX10%の減税を受ける。

ポイント
・国内法人の配当が対象
・課税所得が低いほど有利
・譲渡損失とは通算できない

目安として、次のように整理できます。

CASE
【課税所得330万円以下】

総合課税+配当控除が有利になりやすい水準。

CASE
【課税所得330万円~695万円】

総合課税+配当控除を検討する価値が高いゾーン。

CASE
【課税所得695万円~900万円】

ケースバイケース。配当額や他所得との関係で判断。

CASE
【課税所得900万円超】

総合課税では税率が高くなりやすく、申告不要制度のままの方が有利なことが多い。

理由は、所得税が累進課税であるためです。
税率が低い層では、源泉徴収20.315%よりも実質負担が下がる可能性があります。

上場株式の

・譲渡損失がある
・過去3年以内の繰越損失がある

場合は、まず申告分離課税を検討するのが基本です。

例えば、

配当30万円
譲渡損失30万円

であれば、相殺により税額はゼロになります。

配当控除よりも、損益通算の効果の方が大きいケースが実務では多く見られます。

また、損失を翌年以降に繰り越すためには、継続して確定申告が必要です。

所得税は十人十色です…。一概に何が有利かは言い切れません。
まずはご自身がどのラインに該当するか、実務上の判断目安を下記に整理しました。

✅ 配当のみ、所得が低め → 総合課税&配当控除を検討
✅ 配当のみ、高所得 → 申告不要のままが無難
✅ 譲渡損失あり → 申告分離課税が有力
✅ 損失繰越中 → 申告分離課税が必須
✅ 配当が少額 → 手間との比較で申告不要が現実的

見落としがちな注意点
① 総合課税にすると住民税も影響を受ける
② 国民健康保険料が増える可能性がある (社保は影響なし。)
③ 扶養判定に影響することがある
④ 外国株式の配当は配当控除対象外
「還付があるかどうか」だけで判断すると、結果的に不利になることもあります。

特定口座なら何もしなくてよい?

多くの方は問題ありません。ただし所得や損失状況によっては試算する価値があります。

配当控除と損益通算は同時に使える?

原則としてどちらか一方の選択になります。

繰越損失があるのに申告しないと?

損失が消滅する可能性があります。毎年の申告が必要です。

配当が少額でも検討すべき?

年間数万円以上ある場合は試算してみる価値があります。

アメリカ個別株のみで運用して配当金を得てますが、配当控除できますか?

アメリカ株は内国株式ではないため、配当控除は適用できません。
特定口座-外貨建資産割を確認しましょう。

・投資家の9割超は特定口座(源泉徴収あり)
・多くの方は申告不要で完結
・課税所得695万円以下は配当控除を検討
・譲渡損失がある場合は申告分離課税が有力
・外国株式は配当控除は適用できない

配当金の税務判断は、

「確定申告するかどうか」ではなく
「どの方式が有利か」

を比較することが重要です。

今回の内容は、制度を知るだけでなく、
ご自身の事業や今後の方針を踏まえた
「判断」が求められるテーマです。
ネットの情報だけでは結論が出にくい場合や、
判断の方向性を一度整理しておきたい場合には、
税務顧問としてどのようなサポートが受けられるのかを
確認しておくことも、一つの選択肢になります。
せがわ会計事務所では法人特化型の会計事務所として、
日々の税務判断から将来を見据えたお金の整理まで、
税務顧問サービスを通じて社長に安心できる経営環境を提供しております。
▶ 税務顧問サービスについて詳しく見る

SEGAWA

配当金の税務判断は、「申告する・しない」という単純な話ではありません。
所得水準や配当額、譲渡損失の有無によって最適な選択は変わります。
上場株式の譲渡損失や繰越控除がある方は、申告分離課税を活用することで税負担を軽減できる可能性があります。
一方、課税所得が比較的低い方は、総合課税による配当控除を試算する価値があります。

また、最近は米国個別株や国外ETFで配当を受け取る方も増えていますが、外国法人からの配当は原則として配当控除の対象外です。国内株式と同じ感覚で判断しないよう注意が必要です。
どの方式が有利かは一律ではありません。
試算のうえで判断することが、資産形成において重要なポイントになります。

投稿を表示↗

よろしければシェアお願いします!
目次