外国人オーナーとの賃貸契約で思わぬ落とし穴!            借主にも源泉徴収の義務が発生する?   

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外国人オーナーや海外赴任中の方が所有する物件を借りる際、家賃の支払いにも税金のルールが関係することをご存じでしょうか?
国税庁によれば、オーナーが「非居住者」に該当する場合、家賃支払い時に所得税を天引き(源泉徴収)して納付する義務が、借主側に発生することがあります。
この制度は、海外に住むオーナーが日本国内で得た家賃収入を正しく課税するための仕組みです。
「契約も支払いも今までどおりなのに、自分が税金の納付するの!?」と驚かれる方も多いでしょう。
ですが、この制度を理解しておくことで、知らぬ間に違反していたというリスクを確実に防ぐことができます。

1-1. 「非居住者」とは?税法が定める居住区分を正しく理解しよう

所得税法上の定義では、「非居住者」とは日本に住所を持たず、かつ1年以上日本に居所を有しない人を指します。
つまり、外国人オーナーだけでなく、海外赴任中の日本人も含まれます。
たとえば、海外転勤で現地に住居を構え、1年以上の滞在が見込まれる場合は税法上「非居住者」とされます。
この場合、海外赴任中の日本人が得る家賃収入は「国内源泉所得」に該当し、日本で課税対象となり借主側に源泉徴収義務が生じるのです。
つまり、オーナーの居住地や滞在期間の確認は、税金トラブル防止の第一歩なのです。

1-2. 借主に“源泉徴収義務”が発生する理由とは?

「なぜ借主が税金を納めないといけないの?」と思われる方も多いでしょう。
これは、非居住者が日本で申告・納税するのが難しいため、支払う側(借主)が代わりに税金を納める仕組みだからです。(外国人の税金とりっぱぐれを防止したい!)
具体的には、家賃の**20.42%(所得税+復興特別所得税)**を源泉徴収して税務署へ納付します。
この義務を怠ると、借主側に延滞税や不納付加算税が課されるリスクがあります。
つまり、支払者こそ税金の納付責任者であることを理解しておく必要があります。

月額1,000,000円の家賃の場合
①オーナーには795,800円を支払う。
②支払った翌月10日までに204,200円を税務署に納める。 → 漏れているとペナルティ!

1-3. 「居住用」と「事業用」で扱いが変わる!源泉徴収が必要なケース一覧

源泉徴収が必要かどうかは、契約内容によって異なります。
国税庁のタックスアンサー(No.2880)では、以下のように定められています。

  • 個人が自宅用として借りる場合  →  源泉徴収は不要
  • 個人が事務所や店舗として借りる場合  →  源泉徴収が必要
  • 法人契約での支払い  →  用途を問わず、源泉徴収が必要

特に法人契約では「全ての支払いが対象」とされるため、経理担当者は要注意です。
税務署の判断基準を知っておくことで、予期せぬ課税トラブルを防ぐことができます。

源泉徴収漏れは「知らなかった」では済まされません。
国税庁の指針では、悪意がなくても指摘対象となり、延滞税や不納付加算税が課されるケースもあります。
ここでは、税務調査で実際に問題となりやすい3つのケースを紹介します。

2-1. 海外勤務の日本人オーナーに家賃を払っていたケース

相手が日本人でも、1年以上の海外赴任中で日本に住所がない場合は「非居住者」となります。
この場合、借主は家賃支払い時に源泉徴収を行う必要があります。
怠ると、借主に延滞税や加算税が課される可能性があります。
「日本人だから大丈夫」と思っていたケースほど、税務署からの指摘が多いのが現実です。
海外赴任の期間や住所地の有無を、契約前に必ず確認しましょう。

2-2. 会社が外国人オーナーに賃料を支払っていたケース

法人が外国人オーナーへ支払う家賃は、事業用・居住用を問わず源泉徴収が義務です。
支払い総額の20.42%を控除・納付しなければ、税務調査で「源泉徴収漏れ」と判断される可能性があります。
特に、社宅契約や店舗の賃貸では見落としが多く、経理部門でも注意が必要です。
オーナーが非居住者かどうか、支払い前に必ず確認しましょう。

2-3. 管理会社任せにして安心していたケース

「管理会社がやってくれているから安心」と思い込むのは危険です。
税法上の源泉徴収義務者は、最終的に支払いを行う側(借主や法人)です。
管理会社は仲介業務を担うだけで、税務責任は負いません。
実際、貸主が非居住者でありつつ源泉徴収条項がなく、否認された事例があります。
税務署は「誰が最終支払者か」を重視して確認しますので、油断しないように要注意です。
契約段階で「誰が源泉徴収を行うのか」を明確にしておくことで、後々のトラブルを防げます。

源泉徴収のルールは複雑に見えますが、正しい準備をすれば怖くありません。
ここでは、税務リスクを避けるために今すぐできる3つの実務対策を紹介します。

3-1. オーナー側は、納税管理人を選任して取引に安心を担保する

非居住者が日本で所得を得る場合、日本国内に納税管理人を置く義務があります(所得税法第117条)。
税理士を納税管理人に選任すれば、申告や納付を代理でき、オーナー・借主双方の手間を軽減できます。
この制度を活用することで、海外オーナーでも安心して不動産を運用でき、借主も適切な手続きが可能になります。

3-2. 租税条約や免除証明書の確認で「課税回避」も可能に

日本とオーナーの居住国の間に租税条約があれば、条件を満たせば源泉徴収を免除または軽減できるケースがあります。
オーナーが「源泉徴収免除証明書」を取得している場合も同様です。
いずれの場合も、支払い前に書類を確認し、税務署へ「租税条約に関する届出書」を支払日前日までに提出することが必要です。

3-3. 契約前の“税務チェック”が最大の防御策

税務トラブルの多くは契約時の確認不足から起こります。
契約書にはオーナーの住所や国籍、支払い方法を明記し、非居住者であるかを確認しましょう。
特に法人契約では、経理担当者が支払い前に税理士と相談することが安心です。
不動産オーナが非居住者でことが判明した場合は、かならず契約前に税理士へ相談することが、最も効果的な防御策です。

外国人オーナーや海外勤務者との賃貸契約は、一般的な契約とは異なり、税務のルールが複雑に絡みます。
「知らなかった」では済まされないのが税金の世界です。
しかし、制度の仕組みを理解し、税理士のサポートを受けることで、家賃の支払いも安心・安全に行えます。
せがわ会計事務所では、非居住者との不動産取引や源泉徴収の実務支援を行っています。
お客様の立場に寄り添い、「わかりやすく・確実に・誠実に」サポートいたします。

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近年の円安の影響もあり、日本の不動産や農地・山林を外国資本が購入する動きが広がっています。
正直なところ、私自身も以前は「外国人オーナーとの賃貸契約における源泉徴収」は比較的マイナーな論点だと考えていました。
ところが、先日お客様の賃貸借契約書を確認した際、賃借人が外国法人であるにもかかわらず源泉徴収が行われていないことに気づきました。
すぐに不動産管理会社へ確認したところ、非居住者への賃料には源泉徴収が必要だという点をご存じなかったのです。
その後、契約内容を修正して事なきを得ましたが、こうした“ヒヤリとする事例”は決して珍しくありません。
皆さまも「自分には関係ない」と思わず、契約書や支払い方法に税務リスクが潜んでいないか、ぜひ一度確認してみてください。

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