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2025年から最大95万円控除へ!“新・基礎控除”完全ガイド【一覧付き】


第1章 そもそも基礎控除って何?見落としがちな「税の優遇制度」
税金というと「難しそう」「会社が全部やってくれているからよく分からない」
と感じている方が多いと思います。
けれど実は、年収やライフステージにかかわらず“誰もが受けている”大切な優遇制度のひとつが
「基礎控除」です。
この章では、税理士としての立場から、制度の本質をやさしく紐解いていきます。
知らずに損していることも少なくないこの控除。まずは一緒に基本を押さえましょう。
1-1. 「基礎控除」は誰のための制度?サラリーマンにも大きく影響
基礎控除とは、所得税や住民税を計算する際に、誰でも一定額を差し引いてもらえる“税金の出発点”のような制度です。
年収が300万円でも、その全額に税金がかかるわけではありません。
まず基礎控除などを差し引いた金額に対して課税される仕組みです。
そしてこの控除、フリーランスだけでなく会社員やパートの方も対象。
特別な申告をしなくても、自動的に適用される仕組みです。
「知らなくても受けられる」けれど、「知っておいた方が得をする」制度と言えるでしょう。
1-2. 控除額は一律じゃない?実は“所得に応じて減る仕組み”があります
「控除ってみんな同じ額が差し引かれるんでしょ?」と思っていませんか?
実は、基礎控除には所得制限があり、収入が一定額を超えると段階的に控除額が縮小されるルールがあります。
たとえば、所得が2,400万円を超えると控除額が48万円から減額され、2,500万円を超えるとゼロに。
高所得者の負担を重くする「応能負担」の考え方に基づくものです。
自分がこの制限にかかるかどうか、年末調整前に一度確認しておくと安心です。
1-3. 令和6年までは48万円控除。今の自分の状況を知ることが第一歩
2024年(令和6年)までは、多くの人が48万円の基礎控除を受けています。
とはいえ、実際に自分がどの控除額に該当しているか、正確に把握できている方は意外と少ないのではないでしょうか?
特に所得が2,400万円前後に近い方は、うっかり想定より多く控除を申請してしまい、あとで修正が必要になることも。
令和7年からの改正では、基礎控除額が上がる一方、仕組みは少し複雑になります。
まずは現時点の自分の状況を「正確に知る」ことから始めてみましょう。
第2章 2025年スタート「新・基礎控除」とは?
~特例加算で最大95万円に~
2025年から、基礎控除の制度が大きく変わります。
注目すべきは「控除額の増額」だけではなく、「低〜中所得者に対する特例加算」が新設される点です。
この章では「いくら控除されるのか?」がすぐに分かるよう、最新の国税庁資料をもとに、丁寧にわかりやすく解説します。
思わぬ節税効果があるかもしれませんよ。
2-1. 基礎控除は58万円にアップ!そして“特例加算”が新設されます
2025年から、すべての納税者が受けられる基礎控除が58万円に引き上げられます。
これは嬉しいニュースです。
さらに今回の改正では、所得が低めの方に配慮した「特例加算」が導入されます。
この特例により、所得が132万円以下の方は最大で+37万円が加算され、控除額はなんと95万円に。
これは所得税の計算上、大きなインパクトとなります。
特例の目的は「生活にゆとりのない層の税負担を軽減すること」。
まさに必要なところに手を差し伸べる制度といえるでしょう。
2-2. 所得別に加算額が変わる!最大+37万円の控除で税負担が軽くなる
特例加算は、すべての人が同じ額を受けられるわけではありません。
以下のように、所得に応じて加算額が段階的に変わります。
合計所得金額 | 特例加算 |
---|---|
~132万円以下 | +37万円 |
132万円超~336万円以下 | +30万円 |
336万円超~489万円以下 | +10万円 |
489万円超~655万円以下 | +5万円 |
655万円超~2,350万円以下 | 加算なし |
所得が上がるにつれて、段階的に控除が減っていく仕組みです。
「私の場合はどこに当てはまる?」と気になった方は、次項の早見表でチェックしてみてください。
2-3. 【一覧表付き】あなたはいくら控除される?年収別早見ガイド
国税庁の公表資料をもとに、給与収入の目安から控除額を把握できる早見表をご用意しました。
年収の目安 | 令和7・8年 控除額(基礎+特例) | 令和9年 控除額(基礎+特例) |
---|---|---|
~200万円以下 | 95万円(58万円+37万円) | 95万円(58万円+37万円) |
200万円超~475万円以下 | 88万円(58万円+30万円) | 58万円(58万円+特例なし) |
475万円超~665万円以下 | 68万円(58万円+10万円) | 58万円(58万円+特例なし) |
665万円超~850万円以下 | 63万円(58万円+5万円) | 58万円(58万円+特例なし) |
850万円超~2,545万円以下 | 58万円(58万円+特例なし) | 58万円(58万円+特例なし) |
2,545万円超~2,595万円以下 | 48万円(48万円+特例なし) | 48万円(48万円+特例なし) |
2,595万円超~2,645万円以下 | 32万円(32万円+特例なし) | 32万円(32万円+特例なし) |
2,645万円超~2,695万円以下 | 16万円(16万円+特例なし) | 16万円(16万円+特例なし) |
2,695万円超 | 0万円(0万円+特例なし) | 0万円(0万円+特例なし) |
正確な判定には“合計所得金額”の把握が必要ですが、おおよその目安として参考にしてみてください。
「知らなかった」ではもったいない変化です。
第3章 適用タイミングと実務対応の注意点
年末調整・確定申告の現場から
制度がどんなに素晴らしくても、適用のタイミングを誤ると、せっかくの控除が正しく受けられない可能性もあります。
ここでは税理士として、年末調整や確定申告の現場で実際によくある混乱や注意点を、
分かりやすく解説します。
今からでも間に合う「備えの一歩」をご一緒に。
3-1. 改正はいつから?12月1日以降の支払いが「分岐点」です
2025年から基礎控除が最大95万円に拡大されることで、
新しい基礎控除(特例加算含む)は、令和7年12月1日以降に支払われる給与等から適用されます。
それ以前に支払われたものについては、旧制度(控除48万円等)が適用されます。
この「12月1日」が、実務上の大きな“分かれ目”です。
源泉徴収の計算や年末調整で間違えないよう、給与の支払日ベースで処理を区分する必要があります。
また、源泉徴収の新制度適用は令和8年から。
つまり、2025年の年末調整で混乱しやすい時期だからこそ、早めの対応が重要です。
3-2. 年末調整でよくある誤解とは?“特例分”の扱いに注意
「新制度だから、全部新しい控除額で処理すればいいんでしょ?」と思われがちですが、
そこに落とし穴があります。
支払日が11月か12月かによって、旧控除か新控除かが変わるため、年末調整時には「収入と支払日を切り分ける対応」が求められます。
また、特例加算は“見込み”で適用されることもありますが、年収が当初の想定より上振れした場合、控除額が変わる可能性も。
結果的に追加徴収や申告修正が発生することもあるため、正確な把握と、柔軟な対応がカギになります。
3-3. 税理士からのワンポイント|まずは“所得金額の確認”を
控除額の判断基準となるのは、「年収」ではなく「合計所得金額」です。
ここを正しく把握していないと、控除の判断を誤ってしまう原因になります。
特に、不動産所得や事業所得などと組み合わせることで、課税所得が大きく変わるケースも少なくありません。
「私はどの控除額に該当するの?」「そもそも合計所得ってどうやって計算するの?」と迷ったら、
早めに税理士へ相談するのがおすすめです。丁寧に一緒に確認していきましょう。
🔚 まとめ|「知らなかった…」を防ぐために、今できること
2025年から始まる新しい基礎控除と特例加算。
制度の目的は、より多くの方にとって“公平で優しい税制”にすることです。
ただし、所得に応じて変動する仕組みや適用のタイミングには注意が必要で、「知らないうちに控除を損していた…」ということも起こり得ます。
難しそうに見えて、ポイントさえ押さえれば怖くありません。
「自分はどの控除額?」「年末調整でどう扱えばいい?」など、少しでも不安があれば、税理士がしっかりサポートいたします。
せがわ会計事務所は、千葉県成田市で主に会社設立・法人運営に特化している税理士事務所です。
経験豊富な税理士がパートナーとしてクライアント様をサポートさせていただきますので、
税務や経営に関するお悩みは、お気軽に当事務所までお問い合わせください♪

基礎控除の増額(48万→58万)と特例加算の適用判定は、
あくまで合計所得金額です。
給与のみの方であれば判定は単純ですが、複数の所得(不動産賃貸や個人事業主など)がある場合は、判定が複雑ですね。
とくに、中小企業の社長様は役員報酬(=給与)以外にも複数の所得があるため、年内中に税理士さんに確認しておくと良いですね。